私立中高一貫校

リアルでの失敗を成長の糧に「男子力」を磨く

日本大学豊山高等学校・中学校

1903年、真言宗豊山派によって開校した旧制「豊山中学校」を前身に、1954年に学校法人日本大学によって設置された。現在、同学付属校唯一の男子校として、その真価を発揮する日本大学豊山高等学校・中学校。進学校としての実績も上げながら、「男子力日本一」を目指している。

課外活動での実績の裏でコツコツ学び、希望の進学をかなえる豊山生

広報主任 田中正勝 先生

東京五輪の切符を手に入れた水泳部の柳本幸之介君(高3)、全国大会に出場したバスケットボール部、全国まであと一歩だったサッカー部など、日本大学豊山高等学校・中学校のアスリートたちの活躍は枚挙にいとまがない。コロナ禍で、展示や発表、コンクールがことごとく中止となってしまったが、従来であれば文化部の活動も活発で、日大豊山は生徒がそれぞれ好きなことに熱中し、それをとことんやれる環境にある。底力を発揮するのは、こうした課外活動だけでない。中高生の本分である学業もまた、部活動と同様「ここぞ」という時にベストを尽くす。たとえば高3の1月まで大会があるサッカー部の生徒は、それまでに進学先が決定してしまう生徒がほとんどだという。それは、系列である日本大学への推薦枠ばかりでない。自分の学びたい学問を選び、他学へ進学するために、平素から勉強をおろそかにせず、自ら掴み取った結果だ。

「“大学選び”でなく、“学部学科選び”という進路決定は、近年ようやく社会的に認知され始めましたが、本校の指導は常に何を学びたいのか、学部学科選びを大切にしてきました。上の大学に進学できるから付属にいくという考え方でなく、学部学科を選んだその先に大学選びがあると思ってください」と語るのは、広報主任の田中正勝先生だ。とはいえ、日本大学は16学部87学科、大学院は19研究科、短期大学部4学科、通信教育学部も有する日本屈指の総合大学だ。限られた中から意に沿わない学部学科を選ぶのではなく、どの大学にもある学部にとどまらず、医歯薬系や芸術系まで網羅する総合大学付属校という強みは魅力的だろう。

もちろん、付属生だからといって、どの学部学科へも入れるわけではない。それだけに「大学受験で楽をしたいから付属に」という考え方を捨ててほしいと田中先生は強く訴える。実際に、細分化する将来の目標を達成すべく、他大学への進学率は22%(2020年度実績)ある。難関大学の指定校推薦枠も、先輩たちの活躍のおかげで多数保持し、現役進学率(2020年度実績)は実に93%という好成績だ。日大豊山はそのいずれの進路へのサポートも惜しまない。生徒の「やりたいこと」「なりたい将来」を実現させてあげることを学校の役割と考えているからだ。

その中で近年、同校が注力しているのが「学際化」する社会を視野に入れた進路選択だ。たとえば、コロナの終息に必要なアプローチには、治療やワクチンなどの医療だけでなく、政治や経済、法律など文系からのアプローチも必要だ。実際に、進学について「理工学部か芸術学部か」で悩んでいた生徒もいるという。「彼がやりたかったのは、工業デザインの分野で、それは理工系とアート系、両方からアプローチできたんですね。やりたいことを突き詰めていくと、他の学びとの融合が必然となってきます。そういった意味でも、生徒のやりたい仕事にどう学問を紐付けていくかが進路指導の要として、本校では強く意識しています」と田中先生は話す。なかには文系から理系に転向し、今は研修医として活躍する卒業生もいるという。

日本大学との高大連携にも着目したい。特に日大豊山とつながりが強いのが法学部、経済学部、生産工学部の3学部だ。この3学部の間に科目等履修制度があり、高校在学中に各学部の授業を受講することができる。さらに、その学部に進学した際に単位が認定されるというメリットも。

「大学生でないので、単位の評価自体はSやAなどの好成績でなくてもいいと思っています。それよりも、大学に進学する時のミスマッチを防ぎ、進学先選びの指標となることを期待しています」

都心に位置する好立地だからこそ、実現する制度だ。

体育部・学芸部を問わず部活動が盛ん。好きなことに熱中できる6年間を過ごして男子

リアルな空間で学び支え合う、男子校が育む「男子力」

共学校が増えるなかで、日本大学付属高校26校中、唯一男子校としての伝統を貫くのが日大豊山だ。「強く 正しく 大らかに」を校訓に、男子だけの環境を活かした「男子力の育成」を実践している。「男子力」というと、従来型のステレオタイプな「男らしさ」をイメージする人もいるだろう。だが、同校の指す「男子力」とは、男女が対等に協力し合う社会で、それぞれの個性を活かして「人」として活躍するための力であり、「男女」で役割を制約するものではない。たとえば、同校のスポーツ部には、共学のようにサポートしてくれる女子マネージャーはいない。合宿に行けば、洗濯も給仕もすべて自分たちで行う。一般的には「家なら母親、学校なら女子に頼りがちですが、それは身近な異性への甘えです。私は朝、自分と妻のお弁当を作っています。それは私が早起きだから。また、本校の学校動画『豊山チャンネル』では、男性の中学校長が料理を披露していて、なかなか好評ですよ」と田中先生。自分でできること、好きなことに男女の区別はないことを実践する姿を見せている。

また、共学校では女子が積極的に参加し、男子の参加が少なくなりがちな国際交流の行事も、男子のみの環境ではチャンスが増える。平時であれば、海外への修学旅行、カナダへの言語研修ホームスティ、校内英語スピーチコンテストのほか、選抜制でケンブリッジ大学の語学研修に参加できる「ケンブリッジ研修」など、女子に尻込みせずにチャンレンジできる環境が充実している。日常的にアクティブ・ラーニングの一環として放課後にネイティブ講師と会話できる「フリートーキングプログラム」も、男子だけの気安さで積極的に会話する姿が見られる。

「保護者のなかでも特にお母さんは、男子校のことがよくわからないため、不安に思われる方もいます。ただ、男子しかいないからこそ、異性の目を気にせずにのびのびと成長できます。男子校は同性の素晴らしい仲間とたくさん巡り会える場所。単純に共学校の倍です。本校はリアルな空間で学ぶことを大切にしていますが、リアルには失敗がつきものです。しかし、中高一貫という長い6年間には失敗してもいいと思っています。仲間が必ずフォローしてくれるからです。そんな同性の仲間と支え合い、認め合うことは男子にとって大きな糧になります」

田中先生の話から、男子校で育む「男子力」の底力が見えてくる。

カナダ・オンタリオ州オーウェンサウンドでの17日間にわたるホームステイ
(中学2年生〜高校2年生の希望者対象)
放課後にコモンスペースにてネイティブ講師と自由に会話することができる「フリートーキングプログラム」。コミュニケーション能力を高めることを目標としている