私立中高一貫校

サイエンスコースを追加し
コースの特色がより鮮明に

昭和学院中学校・高等学校

昭和学院中学校・高等学校は2020年度から新コース制を導入し、新しい学校づくりを進めてきた。新コース1期生は今年度で中学3年生となった。入学時の3コースに中3から選択可能な2コースが加わり、中1から高3まで全ての学年で5コースすべてがついにそろった。中学3年の学年主任の大野佳佑先生、教務部長の三部陽祐先生に、新コース制がもたらした影響や、将来の展望について伺った。

チャレンジ精神に富み主体性のある生徒が増えた

中学3年 学年主任 大野 佳佑 先生

昭和学院中学校・高等学校が新コース制を導入してから3年目に突入し、中学校、高校ともに完成年度を迎えた。以前と比べてどのように変化したのだろうか。

「主体性のある生徒が増えてきた実感はあります。今年から開催できるようになった文化祭の準備などを見ていても、安心して生徒に任せられるような状況になっています。分別をわきまえた行動をしてくれるし、学習面でも自発的に行動を起こしてくれる生徒が多く、落ち着いた雰囲気があるのは確かです」と大野先生は振り返る。

「2年前に中1がスタートする時、学年の教員たちで、生徒たちにどんどん挑戦させようと話してきました。大きな事故につながるようなケースは別として、教員には失敗することがわかっていても、あえて口や手を出さず、失敗から学ばせようとしてきました。そのせいか、チャレンジ精神に富んだ生徒が増えているように思います」(大野先生)

生徒が主体となって企画・運営・広報を行っている探究フェスティバルで発表している中2生たち

新コース制は、将来の目的に応じて設定されている。中学はIA(インターナショナルアカデミー)、AA(アドバンストアカデミー)、GA(ジェネラルアカデミー)の3コースでスタートする。IAコースは外国人教員と日本人教員の2名担任制で、毎日生の英語を聞き、話すことができるという特長がある。AAコースは上位大学をめざして勉強に力を入れるコースだ。また、GAコースは、IAやAAほど目標が明確ではないにしても、自分の興味や関心にそって学びをデザインしたいという生徒向けのコースで、ここが最も人数が多い。

「中学は義務教育段階ですから、時間割の中でコースの特色を大きく打ち出すことは難しいのですが、HRも含め、学校生活全体を通し、各コースの特徴が出てきています。IAコースの生徒は英語でのコミュニケーションが日常的になっていますし、AAコースの生徒からは学びに向かう前向きな姿勢を感じます。GAコースは明るく元気な生徒が多く、学校行事などでも中心的な役割を担ってくれるなど、コースごとの性格がはっきりと出ている気はします」(大野先生)

外国人講師との会話など、英語に触れる機会がたくさんあるIAコース

進路意識が明確になった生徒がコースを変更

中学3年からは、これら3コースに、TA(トップアカデミー)コースとAA(アドバンストアカデミー)に所属しながら部活動で全国レベルの活躍を目指すAth(アスリートアカデミー)コースが加わり、全部で5コース展開となった。TAは東大・京大など最難関国立大を目指すコースで、高い成績と強い意欲をもった生徒が所属することになる。興味深いのは、面談で本人の明確な意識が確認でき、かつ成績などの諸条件等をクリアできれば、どのコースからもそれぞれにコース変更ができることだ。

「GAからIAやTAに移ったり、IAからTAやGAに移ったりといろいろなケースがあります。GAからTAに移った生徒もTAの授業についていっていますから、GAでもしっかり勉強できることがわかります。英語だけでなく他教科もハイレベルをめざしたいからIAからTAへ、部活動に力を入れながらも勉強をがんばりたいからとIAからGAへなど、明確な希望を持った生徒がコースを移っています」(大野先生)

高校2年に進級する際にも、もう一度コース変更の機会がある。自分の進路意識が明確になった時点で、将来の学びに応じたコースに移ることができるシステムは、生徒にとって大きな安心材料といえる。

昭和学院では高校募集を行っているが、中高一貫クラスは設けず、高校受験組が各コースに分かれて在籍するシステムをとっている。その理由について三部先生は次のように語る。

「中高一貫クラスを作ると限られた人とだけで6年間過ごすことになります。中高時代はできるだけいろいろなタイプの人と交流することで、刺激し合って協働的な学びを深めてほしいという思いから、あえて混合クラスにするようにしています」

「研究」に力を入れるサイエンスコースを新設

教務部長 三部 陽祐 先生

2023年度からは、新たにSA(サイエンスアカデミー)コースが設定される。つまり、中学入学段階ではIA、AA、GA、SAの4コース、中3からはそこにTAが加わって5コース編成になる。

「本校は、理科実験室6つにプラネタリウムも備えており、従来から理科教育に力を入れてきました。近年は理数分野への人材需要が強いこともあってSAコースを設置することにしました。探究的な学習はどのコース・どの教科でもやることは当たり前、さらにSAコースでは『研究』をしっかり行うことをテーマに掲げています」(三部先生)

研究は世界で誰も知らないことを解き明かしていく体験だ。はっきり言って中高の段階では大きな成果は期待できない。

「新規性のある発見をするためには、今の世界で何がわかっていて何がわかっていないのか、わからないことを解明していくにはどんなことにどんな風に取り組み、どう考えていかなければならないかという経験を経ることが、中高時代には大切だと思っています。大学進学後やさらにその先の人生で、自分が不思議だと思ったことを追究し続けるマインドと方法論、そのスキルを身につけてもらうことが狙いなのです」(三部先生)

データサイエンス分野への社会の期待が高いことから、昭和学院では全員がiPadを1人1台持つことになっているが、SAコースではそれに加えてChromebook(ノートパソコン)も持つことになる。その上で、データ処理やプログラミングも学びの中に取り入れていく計画だ。

SAコースのカリキュラムでは現場に触れながら科学的思考の型を身につけることができます

昭和学院生としてのコース共通の力を育てる

SAコースが加わることで、コースの特色はより鮮明になる。そのコースの学びを縦軸とすれば、昭和学院の生徒としてこれだけの力を身につけたという横軸の学びも必要だ。それを行う場として、総合学習や探究学習を想定している。現在は、教科横断型の学びを通して、評価にとらわれずにトライしていく力を育てるには、どんなプログラムがいいのか模索している段階にある。

まだ準備段階だが、今年度は高1では飲食店経営の課題や問題点を探究し、高2でディズニーランドを訪問し、そこでどんな工夫があるのかを学ぶプランを計画しているという。そのために、中3の「職業体験」を「ジョブシャドウイング」に変更していく。職業や職場をただ体験するだけではなく、「誰かの困った問題を解決するのが職業」だとする視点から、職業や職場を分析していくような学びに転換していくことも考えている。

「社会にある問題を『探る目』、それを考え続ける『思考力』、さらにそれを自分自身で振り返る『メタ認知能力』や『自己調整能力』などを、どのコースの生徒であっても身につけることができるように考えていきたいと思っています」(三部先生)