私立中高一貫校

本物に触れる体験を通じて
大きな夢を育み、実現する

玉川学園中学部・高等部

全人教育を実践するために設立された玉川学園。現在では、幼稚部から大学院、研究施設までが1つのキャンパスに揃う総合学園へと発展している。その利点を生かし、大学や大学院、研究所などと連携して教育効果を高める活動を実践。教科教育を通して幅広い知識や高い学力を獲得するだけでなく、一流に触れる体験や、探究型学習、国際教育を通して、バランスの取れた人格形成を目指している。

「ゆめの学校」の実現のため、創立当初から全人教育を展開

中学部長 中西 郭弘 先生

玉川学園の教育は、創立者・小原國芳を抜きにしては語れない。というのも、玉川学園は小原が思い描いた理想的な教育を実践する学校として創設され、その精神を連綿と受け継いでいるからだ。その理想的な教育が「全人教育」だ。現在では、多くの学校現場で口にされるようになっているが、その原点は1921年に小原が初めて提唱した概念にある。

「人格形成には、学問、道徳、芸術、宗教、健康、生活の6つの重要な側面があり、これらをバランスよく身に付けた人を、小原は『全人』と呼び、全人を育成するための教育を全人教育としたのです」と中学部長の中西郭弘先生は語る。

玉川学園は、全人教育を行うための、いわば「ゆめの学校」であり、同時に、子どもたちが大きな夢を抱き、その夢を実現するために学び合う場として構想された。小原は、「夢」の「夕」の「、」を1画多い「、、」とする書を残しており、子どもたちが1つでも多くの夢を、少しでも大きな夢を抱き、その実現を後押しできるような学校であることを願った。

そのため、できる限り本物に触れる教育の実践に力を注いだ。スキー教室のために「近代アルペンスキーの父」と呼ばれたハンネス・シュナイダーをオーストリアから招聘したり、体操を教えるのにラジオ体操の基となったデンマーク体操の創始者を招いたりと、創設当初のエピソードには事欠かない。現在でも、ベルリンフィルとの交流やNASA長官の講演など、各界の一流に触れ合う機会は多い。

「夢を抱くためには、様々な体験を通して触発されることも重要です。校舎にプラネタリウムを設置したり、陶芸の部屋やガラス工房を用意したりするのも、いろいろな体験を通して広い世界に目を向け、それぞれが目指す道へ進んでほしいという強い思いがあるからです」(中西先生)

理科教育専門校舎サイテックセンターには、高解像度8Kのデジタルプラネタリウムが併設されている

五感に訴える教育を通して、思考力や表現力を伸ばす

全人教育は玉川学園の教育全体を貫いているが、成長段階に応じて、それぞれ別の言葉を用意して、学園が大切にしていることを伝えている。中学生向けには、「深み・丸みのある大人になるために、触れて・感じて・表現する」との目標を掲げている。

深みは、思考力と密接に関係する。だから、どの授業もできるだけ五感に訴えるような工夫を行っている。たとえば教科書の写真の中の服装から、その場の肌感についても考え、食べ物の記述があれば、匂いや味について思いを巡らせる。それらを皆と共有し、立体的に考える。そして感じ、考えたことを表現する。どの教科にもプレゼンテーションの機会があり、常に表現力を磨くことができる。また、仲間と話し合ったり、考えを融合させたりする時間も豊富だ。こうして五感を通して学びながら思考力を鍛え、協働的な学びを行うことで新しい発想を生み出す力を育成し、深みのある大人へと成長させていく。

「思考力を鍛えるには読解力も欠かせません。読解力は、どこが分からないかが分かる力と言い換えてもいいと思います。読解力を身に付けるには、たくさんの『問い』が必要です。抽象的な表現であれば、具体的な内容を問い、具体例の羅列であれば、まとめて括らせるような問いを発するなど、常に考え、表現する授業を心がけています」(中西先生)

一方、丸みのある大人の具体化のためには、「玉川しぐさ」の実践を推奨している。「気が利いて即行動ができる」「相手に恥をかかせない」「社会全体を考えられる」の3つの立ち振舞いを意味しており、通学路の美化労作など発達段階に応じた活動を通して、社会に貢献する意識を育てつつ、具体的な行動ができるように促している。

授業中に発表する機会を多く設けている 
左:技術・家庭科の技術分野 右:自由研究「社会」

3本柱の教育を通して、時代の変化に対応する力を伸ばす

玉川学園は、「全人教育」「探究型学習」「国際教育」を教育の3本柱としている。

探究型学習に特化した「自由研究」は、毎週2時間の授業で様々な分野から自分の興味・関心に沿ってテーマを決め、自発的に研究に取り組む。高1からその研究成果を論文にまとめるため、中3で基礎講座として「学びの技」の授業を受け、生涯役に立つ学び方や研究の進め方を学ぶ。その過程でテーマ設定や情報収集、プレゼンテーションや論文作成に必要なスキルを身に付ける。

STEAM教育*にも力を入れている。2008年からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されており、多彩な探究活動を行っている。昨年も高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC)で特別協賛社賞(花王賞)を受賞し、国際学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として参加する生徒が出るなど、着実な成果を上げている。

社会と連携した取り組みを行うケースも多い。これまでも刃以外を紙で作った紙カミソリ®を開発した企業と販売促進のためのキャッチコピーを考えたり、製菓メーカーと未来のお菓子を考えたり、文具メーカーと筆記具の部品形状について考察したりと、各企業の協力のもと、様々な取り組みを行ってきた。

「今後は企業に限らず、SDGsの一環としてプラスチックの軽減に取り組む自治体などとコラボレーションを行いながら、実社会の課題に即した探究型学習に力を入れていきたいと思っています」(中西先生)

左:サイエンスクラブの生徒が5月に日本代表としてISEFに出場 
右:紙カミソリ®を開発した企業の前でプレゼンテーションを行う生徒たち

国際教育に関しては、49カ国230校以上のメンバー校からなる国際的な私立学校連盟「ラウンドスクエア」に日本で初めて正式なメンバー校として認定され、加盟校との交流や、国際会議への生徒の派遣など、国際感覚を養うのに絶好の環境が整っている。高等部になると、アフリカンスタディーズや、ヨーロピアンスタディーズなど、さまざまな目的に即した海外研修プログラムも豊富になる。

コロナ禍においてもオンラインでの交流を活発的に行った。2021年9月にはラウンドスクエア・オンライン国際会議に参加。オンライン上に広がるバーチャルキャンパスを会場に、各自でアバターを動かしながらキャンパス内各所で行われる様々なプログラムに参加した。

「世の中が大きく変化し、大学入試も変わりつつあります。本学園では、3本柱の教育を通して、楽しみながら枠を超えていく力、コミュニケーションを大切にしながら仲間と新しい価値を創造していく力など、これからの時代に求められる力を伸ばす教育を100年近く続けています。これからもブレることなく、全人教育を全うしていきたいと思っています」(中西先生)

ラウンドスクエア・オンライン国際会議の様子。指定のテーマに基づいて他国の参加者とディスカッションをしたり、校庭でヨガやゲームに取り組んだりした
オーストラリアのThe Rockhampton Grammar Schoolと行ったオンライン交流の様子

  • STEAM教育…科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)を統合的に学び、理数教育に創造性を加えることで、実社会の問題を解決していく力を身に付ける教育。