私立中高一貫校

多彩なプログラムを活用し、
国際的に存在感のある人材を育てる

昭和学院中学校・高等学校

2020年に創立80 周年を迎え、100周年への次なる20年に向けて「令和の昭和プロジェクト」を始動させた昭和学院中学校・高等学校。制服を一新しただけでなく、新たにインターナショナルアカデミ−コースを設け、国際教育のさらなる強化を目指している。

生徒の成長が著しい、注目の「エンパワーメントプログラム」の導入

「エンパワーメントプログラム」で留学生と英語でコミュニケーションをとる様子

2020年度4月から、新コース制を導入した昭和学院中学校・高等学校だが、中でも注目されているのが、海外の大学進学も視野に入れたインターナショナルアカデミーコース(IA)だ。国内大学も、ICUや上智大学など国際的な環境の整った難関大学を目指せる力を養う。予想外のコロナ禍で思うようなスタートではなかったが、国内でできる国際教育を工夫して可能な限りで行い、その結果、生徒の成長は著しいという。その様子を英語科の先生方に聞いた。

昨年、開催第1回目となったのは「エンパワーメントプログラム」だ。国際的な研修プログラムを行うISAが主催するプログラムで、ファシリテーターと日本の大学に留学している外国人留学生を迎え、5日間毎日5時間ほどグループディスカッション等を英語で行う。同校では、昨年度はIAの高1生は必須で、それ以外のコース生(中3から高2生)は希望制だったが、効果の高い結果が出たため、今年度からIA(高1〜高2)に加え、東京大学など最難関大学を目指すトップグレードアカデミーコース(TA)(高1〜高2)の生徒も必須とした。

「これまでも全生徒が参加する、中1でのイングリッシュアクティビティ(1泊2日)、中2でのイングリッシュキャンプ(2泊3日)、中3でのオーストラリア語学研修という英語漬けプログラムの流れがありました。ただ、3年間で培った力をどのように高校につないでいくかと考えたとき、その集大成となればとエンパワーメントプログラムを導入したのです」と話すのは落合太一先生だ。さらに、通常であれば高2で海外に修学旅行に行くが、コロナ禍では複数の代替案を準備しており、いずれにしても生徒たちが高校で英語をたくさん活用してコミュニケーションをとるというスタイルを守ろうとしている。

エンパワーメントプログラムでは、話題のトピックが用意される。昨年扱ったのは、アメリカで起こった「Black Lives Matter(BLM)」など。毎回、違うトピックで、違う留学生と意見交換を行う。

「BLMについてはニュースで見ていても、実際には黒人と接したことがない生徒ばかり。黒人という立場での意見や様々な国からの視点を聞けた結果、生徒たちも自分たちの意見を主体的に話せるようになりました」(落合先生)

もっとも、IAの生徒はふだんから英語でのディスカッションに慣れているが、他コースの生徒がついていけるものなのだろうか?

「最初は緊張して思うように話せなくても、まわりがサポートしてくれるなかで、2日目、3日目と慣れていき、自分も話してみようかなという気持ちになってくれました。その後の英語の授業への取り組みも、もっと外国の人たちとたくさん話してみたいという思いで積極的になり、このプログラムの影響は大きかったですね」(落合先生)

留学生は海外のトップ校から日本のトップ校に学びに来ている学生ばかり。そういう生徒と話すことにより、海外で働いてみたいなどの気持ちだけでなく、海外の大学へのイメージもわいてきたようだ。「多くは高1が参加しますが、中3から参加し続ければ、複数回経験する生徒たちが出てきます。そうした生徒たちの成長を見るのが楽しみです」と落合先生はうれしそうだ。

マンツーマンで会話のキャッチボールができる 「オンラインスピーキング」

一方で、さまざまなプログラムを英語で経験するためのベースはどうやって作られるのだろうか? より効果的な取り組みが、中3〜高2で実施している「オンラインスピーキング(OST)」だ。1人1台貸与されているiPadを使って海外のネイティブとオンライン上で対話する。対話の内容は、目的やレベルに合わせて一人ひとり選ぶことができる。

OSTのメリットについて、石井誠先生は「本校にはネイティブが6人います。これは多い方だと思いますが、それでも授業中はネイティブ1人に対して生徒が約30人です。生徒1人がネイティブとキャッチボールできる時間は数分しかないでしょう。しかし、OSTでは、ずっとマンツーマンで会話できます。人と話すより本が好きという静かな生徒でも、何とか英語で会話を続けようとします」と話す。単に英会話が上達するだけでなく、相手のことを考えて会話をつなげようとするコミュニケーション能力も鍛えられるそうだ。

メリットは他にもある。会話する相手はフィリピン人講師だ。2021年度入試からスタートした共通テストのリスニングでは、スピーカーがアメリカ人だけでなく、英国人やアジア人なども加わった。それぞれ発音の違いなどがあり、こうした入試の変化に対応するためにも、多国籍な発音に慣れておく必要がある。

「本校のネイティブもまた、アメリカ人以外にカナダ、スコットランド、オーストラリアなど多彩。それぞれ発音や言い回しが異なるので、OSTを含めてよいトレーニングになっています」(石井先生)

生徒一人ひとりのレベルに合わせてコミュニケーション能力も鍛えていく「オンラインスピーキング(OST)」

英検ではIAの生徒がまわりの生徒を牽引する

こうして鍛えた英語力が試されるのが英検®への挑戦だ。高校からIAに入るためには、英検準2級程度の英語力が必須だが、卒業までには準1級、さらには1級に合格する程度の力をつけさせたいという。実は大学入試に外部試験が導入される方針が決定した頃、全生徒英検受検から到達度を測る試験に切り替えたが、蓋を開ければまだまだ英検が根強い。進路指導を担当する中川弘恵先生は「やはり英検を使用する大学が多く、今年度から中学生は全員、英検受検にしました。到達度を測る試験もよいのですが、中学生ぐらいですと英検のように合格という形式の方が達成感もあり、その後のやる気にもつながります」と説明。状況を見ながら体制を整えていく。

また、IAの生徒たちが、他コースの生徒の牽引力にもなっているそうだ。

「彼らが努力している姿や、実際に上の級に合格する姿を見て、『私もがんばろう』と思うようです。また、英検の二次試験でインストラクターを務めている先生方がいますので、受検直前には彼らが積極的に練習を見てくれます。朝、昼休み、放課後も生徒たちは面接の練習をしてもらっていますが、それを周りの生徒たちが見て自分も挑戦しようと前向きになっていきます」(中川先生)

同校の国際教育について、落合先生は「英語を話せることが目的ではない」という。

「自分の意見を発信できることが大事であり、その手段として、英語や多彩な国の文化を学びます。本校には『3+1の力』という言葉があり、3は『考動力』『挑戦力』『対話力』、それに加えて+1が「自らを律する力」です。国際教育のなかでもこの『3+1の力』の育成を目指し、相手を理解しながら、自分の意見もはっきり発信できる、国際的に存在感ある生徒を輩出していきたいと考えています」と、落合先生は国際教育の方針について、力強く語ってくれた。

左から 落合 太一 先生、中川 弘恵 先生、石井 誠 先生
  • 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。