私立中高一貫校

インターナショナルスクールとの連携で、
新たな教育を指導

文京学院大学女子中学校 高等学校

2024年に創立100周年を迎える文京学院。同校では、創立時からの理念である「自立と共生」を受け継ぎながら、これからの時代を生きる生徒たちにふさわしい教育をめざしてさまざまな教育改革を進めてきた。そして2021年9月、インターナショナルスクールとの教育連携による新たな教育が始まる。連携に至った経緯や、同校のめざす教育について、雨宮正典副校長と佐藤泰正教頭にお話しいただいた。

雨宮正典副校長(左)と佐藤泰正教頭(右)

日本にいながら、多様性を実体験できる環境

2021年9月、文京学院・駒込キャンパス内にアオバジャパン・インターナショナルスクール(A-JIS)が新たなスクールを開校し、文京学院との教育連携をスタートする。連携の背景にあるのは、同校が新たに掲げる教育プログラム「未来創造教育」だ。全ての教員が、生徒一人ひとりと向き合い、生徒の未来の自分像を実現するための新たな教育手法として導入されるこのプログラムでは、国際人として必要とされる「他者への尊敬、探究心と理解力、コミュニケーション力」、さらに世界で通用する真の英語力を身につけることをめざしており、インターナショナルスクールとの教育提携はそのための第一歩になる。

提携するA-JISは、1976年に設立されたインターナショナルスクールで、国際バカロレア(IB)認定校(※注)でもある。佐藤泰正教頭は、今回の教育連携を「異なる2つの学校がそれぞれの利点を活かして、新しい教育を作っていく試み」と説明する。

「これまでも本校は、都内でも有数の多様性を誇る学校でしたが、教育連携でさらに多様性が推進されることになります。A-JISには男子生徒もいますし、国家や文化などバックグラウンドの異なるさまざまな生徒がいますから、生徒同士の交流により今まで以上の多様性を実体験として積み重ねていけると考えています。また本校では、留学生の受け入れや語学研修・修学旅行を通して積極的に国際交流を進めてきましたが、新型コロナの影響により、今後はそうした交流が難しくなるでしょう。その意味でもIB校との教育連携は、日本にいながら留学の疑似体験ができるメリットもあります」

さらにIB校の教育手法にも期待するとのこと。「A-JISの教育目標である『国際的な視野を持つ人間の育成』や、国際バカロレア校の教育の中核になる知の理論(TOK=Theory of Knowledge)は、探究学習に力を入れてきた本校のめざす教育とオーバーラップしており、同じ方向に向かえると確信しています。本校としては、A-JISのグローバル水準を取り入れた未来創造教育を展開する。一方A-JIS側は、部活動やホームルーム、清掃活動といった日本型教育に関心が高いようです。日本の私立女子校とインターナショナルスクールという、コンセプトも経営法人も異なる2つの学校が、それぞれがめざす教育を展開しながら、教育パートナーとして切磋琢磨していくことで、新たな教育が実現するはずです」

2校の間では、すでに生徒同士の交流が始まっている。生徒同士がリモートミーティングでやりとりを始めており、11月17日、18日に行われた学園祭(文女祭)には、A-JISの生徒が10人以上参加。それぞれが作った『学校紹介』や“My Treasures”の動画によるビデオコンテストを行ったり、一緒にダンスする話で盛り上がるなど、交流する生徒たちの輪が広がりつつあるという。

「将来的には授業の受講や単位互換などの構想もあります。生徒同士の交流により、相乗効果やケミストリーが起こることを期待しています」

SSH活動で培った探究活動重視の教育プログラムを実践

96年の歴史を持つ同校は、「英語力」「理数力」「生きる力」を養うため、時代にあわせた教育プログラムを取り入れてきた。2009年には、グローバル社会が求める英語力を修得するためにゼミ形式の課外授業「国際塾」を設置し、授業以外で英語を学び使える環境を用意。また理数教育にも力を入れている。2012年には文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)およびコアスーパーサイエンスハイスクール(コアSSH)の指定を受け、タイのプリンセス・チュラボーン・サイエンスハイスクール・ペッチャプリー高校との交流及び共同研究発表に取り組んできた。さらに提携大学や他のSSH校との共同実践など、学内・外を問わず幅広い探究活動を実施。2015年にはスーパーグローバルハイスクール(SGH)アソシエイトの指定も受けており、SSH活動で培った課題研究への取り組みをさらに広げている。ちなみにSSHとSGH(アソシエイト含む)の両方の指定を受けている学校は、全国で29校(検定当時)だけだ。

雨宮副校長は探究活動について次のように語る。

「本校では、毎年12月に研究成果を発表するポスターセッションを実施しています。課題に対して仮説を立て、資料を集め、調べて発表する。1つひとつ積み上げて行く過程ももちろん重要ですが、発表して終わりではなく、その後の質問者とのやりとりが重要だと考えています。withコロナの時代、リアルでの実施は難しくなっていますが、オンラインを活用するなどして、これからも続けていきたいと思っています」

加えて中高6年間の同校の教育プログラムは、生徒の自主性を育むことに重点が置かれている。探究学習だけでなく、数学では反転学習を実施するなど、「教わる」のではなく生徒が自ら「学ぼう」とする力を引き出すよう工夫。進路に関しても、“大学名”より“自分”ありきの指導が信条だ。併設の文京学院大学には4学部10学科があり、優先入学制度を利用して早期に合格することができるし、内部進学の権利を持ったまま他大学へチャレンジすることも可能だ。在学生・卒業生には、自分が興味あるテーマを研究しているアメリカの大学教授を探してきてメールで問い合わせたり、サッカーを続けるため英語力を磨いてアメリカの大学に進学するなど、自分の道を切り拓いていく生徒も増えているという。

「“女性はこうあるべき”といったイメージをもたれがちですが、これからは既成概念に縛られず、女性が能力を発揮する時代、本当の意味で自由に活躍する時代になると思います。本校では運針、ペン習字、礼法など女性としての資質を大事にしながらも、物怖じせずに自分の意見を発信できるような人間を育てたい。6年間の学びを通して“化ける”生徒たちの姿を頼もしく見守っています」

100周年に向け、さらなる進歩を

コロナ禍でさまざまな規制や対応を余儀なくされる中、同校では「学びを止めない」ためにさまざまな取り組みを進めてきた。2020年度入学生から、全員が全容のタブレット端末を活用し、授業や自学自習などに積極的に活用している。

「“できない”ではなく、“どうやったらできるか”を考えてきました。例えばオンライン授業への移行で、数年前から進めてきたICT環境整備が一気に進みましたが、YouTubeの活用やアンケート集計などオンラインならではのメリットに気づくことができました。一方でリアルでなければできないことも多くあります。これからもリアルとオンライン両方をバランス良く組み合わせながら、よりよい方法を模索していきたいと思っています」

最後に、先生方に今後のビジョンを語っていただいた。

「これまで卒業生との関わりは大学時代や就職、転職といった場面が主でしたが、今後はより長いスパンで卒業生とつながり、サポートしていければと考えています。一方でこれからの女性の姿を体現している多くの卒業生の存在が、後輩たちにいい刺激を与えてくれると思います。多様性に富んだ本校の教育環境で学ぶ生徒たちのこれからが楽しみです」(佐藤教頭)

「本校にはたくさん引き出しがあり、しかも奥が深いのです。生徒一人ひとり、自分に合う引き出しが必ずあるはずですから、それを見つけ、とことん取り組んで欲しい。私たち教員も生徒をサポートすると共に、チャレンジを一緒に楽しもうと思っています。本校は100周年を迎えますが、100周年で終わるわけではありません。生徒たちが成長していくように、本校もその先の100年をめざし、成長・発展していければと考えています」(雨宮副校長)

  • 注)国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)
    国際的に通用する大学入学資格で、世界158以上の国・地域に約5,000校の認定校がある。A-JISは2015年に認定校となり、「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」の事務局を運営している。