私立中高一貫校

気づき」の連鎖が生徒を育み、夢の実現に導く

淑徳巣鴨中学高等学校

1919年の創立以来、校訓「感恩奉仕」をもとに教科指導や学校行事・課外活動などを通して、豊かな人間性の育成に力を注いできた淑徳巣鴨中学校・高等学校。100年を超える歴史の中で育んできたのが「気づきの教育」であり、小さな気づきの連鎖を促す「わかる授業」の実践だ。同校の教育の特長を、夘木幸男校長にうかがった。

「気づき」をベースに、新しい「気づき」を促す「わかる授業」

同校の校訓である「感恩奉仕」とは、自らを取り巻くすべての存在に感謝し、自分が身につけた能力を世のため、人のために生かす生き方をすること。「奉仕」というと、募金や身体を動かす奉仕活動を連想しがちだが、日頃簡単にできる奉仕は身の回りにあるという。夘木幸男校長は、「たとえば毎朝明るい声で“おはよう”と挨拶すること、優しい笑顔や言葉で人に接すること、これらすべてが“奉仕”です。本校では日々の生活すべてにこの精神が息づいており、生徒一人ひとりの心のよりどころになっています」と語る。

100年を超える同校の歴史の中で育まれてきたのが「気づきの教育」だ。同校では「気づきの教育が叡知の包みをひらく」を教育目標に掲げ、生徒が主体的に学び、思考力・判断力・表現力を育む教育に力を入れている。「AIの普及など、激しく変化する時代を生きる子どもたちに必要なのは、人生を切り拓いていく意欲や体力、技術を身につけることです。本校では子どもが成長するきっかけとなる気づきを大事にしながら、生徒一人ひとりの長所や個性を認め伸ばしていく教育に取り組んでいます」(夘木校長)

日々の授業を大切にしている同校が目指す「わかる授業」とは、単に知識を増やすだけではなく、生徒の気づきをベースにして、進んで調べ、新しい知識を自ら習得し、さらに新しい気づきへとつなげていく授業だという。たとえば中学校では、生徒が特定のテーマについて調べ、発表する機会が数多く設けられており、中3ではその集大成として卒業論文を執筆。高校では課題設定からプレゼンテーション、振り返りまでを一貫して行う「課題研究」に取り組むなど、段階に応じたさまざまな気づきの機会が用意されている。さらに全校生徒を対象にした「スポンサー講座」では、各界の第一線で活躍する人の話を聞くことができ、自身の将来像について考える良き機会となっている。

スポンサー講座では、社会の第一線で活躍されている方々の講演や体験学習などで職業への理解を深める

実践的な学びで真の国際理解を目指す

同校の教育実践で、もう一つ力を入れているのがグローバル教育だ。「読む」「書く」「聞く」「話す」の英語4技能をバランス良く伸ばすとともに、世界中の人々と交流し、異文化理解力を身につけられるようなプログラムが用意されている。

まず同校には、複数のネイティブ教員が常駐しており、授業はもちろんいつでも英会話が実践できる環境がある。加えて中2生は全員が2泊3日の「イングリッシュキャンプ(国内)」に参加。校外の施設でネイティブの先生とオールイングリッシュで生活しながら、世界各国の事柄を調べたり、英語劇を行ったりする。中3で行うのがアメリカ・シアトルへの修学旅行。約1週間、ホストファミリー宅に2人1組で宿泊し、英語の活用力を高める。さらに高2ではイギリスへの修学旅行があり、同じくホームステイをしながら現地校に通い、日本の文化についてのプレゼンテーションをしたり、折り紙、習字などのワークショップを開催したりするなど、現地校の生徒と交流する。

それ以外にも全学年で行うレシテーション(英文暗誦)大会や、希望者対象のオレゴンサマーキャンプ、3カ月留学、さらに高校では1年留学や1カ月語学研修プログラムなど、アクティブに英語を使う機会に恵まれている。

「生徒たちは英語を使う経験を通じて、その重要性を認識したり、通じない歯がゆさを感じたりします。そうした気づきが修学旅行などの次のステップにつながっていくのです。

私自身は修学旅行を『地域研修プロジェクト』ととらえていますが、中3のシアトル、高2のイギリスいずれも事前学習と現地での学習、振り返りというプロセスを経ることで、異文化交流と合わせて、社会の仕組みに気づく探究活動として高い教育効果を発揮しています」(夘木校長)

オレゴンサマーキャンプでは、ホームステイやアクティビティを通して積極的に楽しく英会話を学ぶ

コロナ禍で、改めて実感する「感恩奉仕」

新型コロナウイルスの影響で、同校は年度始めから数々の厳しい状況に追い込まれた。それでも夘木校長は「校訓の感恩奉仕の意味に、改めて気づく機会をいただいた」と前向きに捉えている。「当たり前だと思っていた日常が覆されたことで、『自分の生活は多くの人の手を借りて成り立っている』ことを子どもたちなりに実感してくれたはずです。たとえばお弁当一つとっても、作ってくれる親はもちろん食材を育てた人や流通業者、販売店など多くの人の存在があってこそ。今までの生活のありがたさに感謝することで、自分自身や社会に目を向けるきっかけになったと思っています」

一方学校側も、学びを止めないためにさまざまな対策を進めてきた。幸い4月6日の入学式は対面で実施することができたが、その後はオンラインでの授業へ。「わかる授業」の工夫や生徒の精神面のフォローなど、問題が起きる度に教員全員で話し合い、解決策を講じてきたという。「練り上げた授業を発信しても、受け取る側の生徒が消化できなければ何にもなりません。生徒の『学ぼう』という意欲をどう引き出すかが今まで以上に問われると痛感しています。各教員もこまめに生徒と接点を持ちながら、柔軟な対応を実施してきました。6月後半からは通学とオンラインを併用しながら、生徒の学習意欲を引き出すような学びの実践を目指します」と夘木校長は語る。

近年、進学実績を伸ばしている同校だが、夘木校長は「大学入学が終着点ではない」と強調する。「これからの社会では、基礎となる知識を身につけたうえで、自ら課題を見つけ、解決方法を考え、それを自分の言葉で発表できることが必要で、大学・大学院はそのための専門性を深める場。子どもたちの持っている可能性を信じ、気づきの連鎖を促す本校の教育は、必ずや次代を生き抜く力になると確信しています。 中学受験には家族全員の協力が必要ですが、乗り越えた先には大きく成長した子どもの姿があるはずです。困難も含め、ぜひ受験を楽しんでください。来春、たくさんの笑顔の子どもたちに会えるのを楽しみにしています」

中1「自分史ワーク」、中2「ムービーワーク」、中3「卒業論文発表」など、同校には生徒を成長させる「気づき」のしかけがたくさんある