WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

英語力を徹底的に磨き上げる
「国際コース」を中学校に新設

江戸川女子中学校・高等学校

知性と品性を備えた「自立した人」の育成を教育目標にかかげる江戸川女子。異文化理解と社会性を育む教育で知られており、以前から英語教育に力を注いでいる。その教育をさらに拡充させ、英語をツールとして使いこなせる人材を育成するため、来春から中学校に「国際コース」を開設する。それに合わせて、英語に特化した入試も導入する。

取り出し授業をベースにした「国際コース」を新設

2021年4月、江戸川女子中学校に「国際コース」が誕生する。中学では個々の英語力に合わせたレベル別の少人数制の英語教育を行い、高校進学後は海外の大学も含めた幅広い進路に対応できる教育を行っていく。

同校は約30年前、高校に英語科を設置し、英語力を伸ばす教育を進めてきた。その背景を英語科主任の熊川美帆子先生は次のように振り返る。

「当初は、英語をもっと勉強したい、留学したい、英語で仕事をしたいという生徒のニーズに応える形でスタートしました。受験に有利になるという見込みもありましたが、あくまでも目的は英語そのものの上達にありました。しかし、最近では、英語を使って何をするかが問われるようになっています。そこで、国際的な視野を身につけた上で、英語を使って幅広く活躍できる人材を育成する国際コースを新設することにしました」

実は、中学校では10年ほど前から、英語の取り出し授業を行ってきた。ほとんどが帰国子女だったが、一般入試合格者でも英検®2級を持っていれば、自動的に取り出し授業に参加できた。この取り出し授業はやがて高校にも引き継がれ、ある程度の英語力を備えた生徒に対しては、よりハイレベルな英語教育を行うことができる環境を整えることができるようになった。国際コースの設置は、こうした実績がベースになっている。

「昨今のグローバル化の影響もあって、最近では中学入学段階で英検3級程度の実力を持つ生徒も増えています。そこで、新たに開設する国際コースでは、習熟度別の英語の授業を行うことにしました。そのかわり、中学の取り出し授業は廃止します」と、入試対策委員を務める水嶋瞳先生は説明する。

英語イマージョン教育を実践し、副担任もネイティブ教員に

国際コースの開設に伴って、中学は一般コースと国際コースの2コースで募集することになる。国際コースは、ある程度以上の英語力がある生徒を対象にしているため、副担任はネイティブ教員が務める。学校生活の中で気軽に英語を使う機会を増やすことで、英語コミュニケーションへの心理的なハードルを下げようというわけだ。

加えて、音楽と美術の授業は、英語を使って教えるイマージョン教育を行う。担当は日本人教員だが、ネイティブ教員との間で、授業の目的や内容、進め方などを綿密に打ち合わせた上で、ネイティブ教員が英語で生徒たちをサポートする。音楽や美術は身体的な動きを伴うことが多いが、具体的な指示などを英語で行うことで、生徒が英語を身体的に理解できることを目指している。

英語の授業は、英検2級以上が対象のAdvanced Classと、英検3級以上が対象のStandard Classに分かれ、いずれも少人数で授業を行う。Advanced Classは基本的にネイティブ教員が担当し、原書講読に踏み込んでいくと同時に、ディスカッションやディベートなども行い、英語をツールとして使いこなせる力を伸ばしていく。

「Standard Classの生徒は、入学当初は一般コースとほぼ同じようなレベルからスタートしますが、英検3級程度の力を持っているわけですから、徐々に進度を速めていき、英検2級の取得を目指していきます」(熊川先生)

同校には、高校から様々な海外研修プログラムが用意されているが、国際コースの生徒に関しては、中3の段階でマレーシア研修に参加することが必須になっており、この点が一般コースとの大きな違いだ。この研修では、語学学校での語学の授業のほか、現地校の生徒との交流やホームステイなども計画されている。

また、高2になると、アメリカ、フィリピン、ニュージーランドなどへの2〜10週間程度の海外研修があり、国際コースの生徒はいずれかを選択して参加することになる。

さらに、国際的な視野を獲得するため、国際コースには「グローバル・スタディーズ」という科目が新設される。中1から6年間継続して学ぶ科目で、世界の構造を理解したり、宗教や教育などの世界的な状況について調べたりする授業だ。

「高校ではこの科目をSDGsの学習に発展させることを想定しており、物事を世界的規模で考える力や、多様な価値観を尊重する力などを高めていきたいと考えています」(熊川先生)

英語1科目で入学できる英語特化型入試を導入

国際コース設置に合わせて、2021年度から「英語特化型入試」も導入する。英検2級レベルの問題が出題される英語筆記テストと、日本語と英語による面接だけで合否が決まる、いわゆる“英語1科目入試”だ。この入試は、帰国生を対象とした11月と、一般受験生を対象とした2月に実施される。

「英語特化型入試」の合格者は、自動的に国際コースでの入学となるが、それ以外の入試での合格者も、英検3級以上を取得していれば、国際コースで入学するか、一般コースで入学するかを選択できる。

たとえ英検を取得していなくても、2月に実施する「英語チャレンジテスト」に合格すれば、国際コースに入学できる。英検を受検する機会がなかった生徒もいるため、英検2級または3級程度のテストで、英語力を判定しようというわけだ。

一般コースに入学してから国際コースに移動することもできる。中1で英検3級、中2で準2級、中3で2級を取得すれば、進級・進学時に一般コースから国際コースに変更可能だ。

「英語教育のレベルとイマージョン教育、必修の海外研修以外は、国際コースと一般コースに差はなく、人間形成を土台とする本校の教育目標は変わりません。高い英語力と国際的な視野を持った生徒が増えることで、教育環境が豊かになり、進路の幅も広がってくることが期待できます」と、水嶋先生は抱負を語る。

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