WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

伝統と未来志向が両立
「R-プログラム」で時代の要請に応える

立正大学付属立正中学校・高等学校

大田区西馬込に明るく開放的なキャンパスを構える立正大学付属立正中学校・高等学校は、1904(明治37)年に開校した伝統校だ。仏教の教えをもとにした建学の精神を受け継ぎながら、先進的な教育に取り組む未来志向の学校でもある。

建学の精神「行学二道」で生活指導と進学指導を実施

「2代、3代にわたって本校でお子さまを学ばせるご家庭は少なくありません。中には4代目という在校生もいます。そうした保護者の方々やOB・OG、さらには担任をはじめとする教員が、いわば『立正ファミリー』として在校生を見守る。このことは本校の大きな特色の一つといえます」

 こう語り始めるのは、ご自身が立正大学付属立正中学校・高等学校のOBで、1979年に英語教師として同校に入職し、2015年4月から学校長を務める大場一人先生だ。

 同校は日蓮宗の僧侶を育成する学校として1904(明治37)年に開校した。1925(大正14)年には校名を立正中学と改称し、一般家庭にも門戸を開放。その後しばらくは男子校だったが、1994年に中学を、1997年に高校をそれぞれ共学化した。2013年にはキャンパスを品川区大崎から大田区西馬込に移転し、現在に至っている。

 さまざまな変遷をたどってきた同校だが、その建学の精神「行学二道」はいささかも揺るがない。「行学二道」とは「修行」と「修学」の二つの道のこと。大場校長は「『行い』と『学び』を意味します。学校に置き換えれば、生活指導と進学指導のことです」とかみ砕いてくれた。

 また、「立正」という校名も、まさに名は体を表わしている。

「こちらは日蓮聖人が『立正安国論』で説いた言葉で、正しい行いを自ら進んで体現することを意味します。本校ではこうした建学の精神、理念で教育を行っています」

中1と高1では、日蓮聖人が修行した身延山久遠寺の宿坊に泊まり、1泊2日のオリエンテーションを行う。早朝の勤行にも参加

学びの基本の力を培う「R-プログラム」

 現在の同校の教育で最も特色あるカリキュラムが「R-プログラム」だ。これは、毎朝20分間のショートホームルームと年数回のロングホームルームの時間を利用し、「R」から始まる三つのスキルを伸ばそうというもの。「Research」「Read」「Report」がそれで、「調べる力」「読み取る力」「表現する力」を養うことをめざす。

 このプログラムは3本の柱で構成されている。まず一つが、コラムリーディング&スピーチ。新聞の社説やコラムなどのテーマ文について、自分の言葉で200字程度にまとめ、さらにその文章を教室の前で発表するというものだ。これにより、要約力や文章力、発信力などを養う。

 次が、読書ノート&リーディングマラソンで、いずれも読書の習慣化を狙っている。生徒は毎日の読書について読書ノートに記録するとともに、クラス対抗で読書量を競うリーディングマラソンに挑むのである。これに取り組むことで、速読力や読解力などが身につく。

 三つ目が、キャリアデザインプログラムだ。中1では「職業講話」として、同校OB・OGの社会人から現在就いている仕事の話を聞く。それを踏まえ、中2・3では「職場体験」を行う。11の職種、約70の事業所から興味のある仕事を選択し、実際に3日間体験する。体験後は仕事の内容や他業種とのかかわりなどを調べ、新聞を制作したり、プレゼンテーションを行ったりする。ここで三つの「R」スキルを総動員するわけだ。

「調べる力、読み取る力、表現する力は学びの基本です。これをまず日本語でしっかり身につけることに意義があります。私は英語教師ですが、きちんと学ぶための原点は国語力だと思っています。それを培うのがR-プログラムです。さらに職場体験をすることで、将来の夢がより具体化します。その結果、勉強の意味や必要性に対する“気づき”が生じ、三つのスキルを主体的に高めようとする意欲も生じるのです」

R-プログラムの一つ「コラムリーディング&スピーチ」では、新聞の社説やコラムなどのテーマ文を自分の言葉でまとめ、クラスの前で発表する
中3では、キャリア教育の一環として、企業や学校、病院などで3日間のインターンシップ(職場体験)に参加

1クラスを三つに分割ネイティブ講師の英会話授業

 同校のカリキュラムでもう一つ目を引くのは、英会話を含む英語の授業が充実していることだ。たとえば中学では、通常の授業は各学年とも週6時限を確保。英会話は1年と3年が週2時限、2年が週1時限ずつ配されている。

 しかも、英会話の授業は中身も濃い。中学の1クラスは30人ほどで構成されているのだが、ネイティブ講師が3人で1クラスを担当する。つまり、分割・少人数授業により、10人前後の生徒を1人のネイティブ講師が受け持つのである。これにより、発話の機会が格段に増えた。

 また、毎年秋に開かれる立正祭(文化祭)も、英語力を高めるためのしかけとして活用している。立正祭の前に、中学生全員に英語で3分間スピーチをしてもらい、それをビデオに収録。立正祭当日にはその映像を流すのである。生徒にとっては英語学習の励みになる企画といえそうだ。

 英検®の受検も奨励されている。その目標は中学卒業時に英検3級(特進クラスは準2級)を取得すること。高校では自分が志望する大学・学部・学科の英語入試に合わせて、TOEICやTOEFLの講座も受講できる。

 大場校長は「大学入試で英語4技能が重視される今、英語力を高めることが不可欠。大学英文科のクリエイティブライティングと同等のことを、高2・3でできるようにするのが将来的な目標です」と夢を語る。

ネイティブ講師による英会話の授業では、「英語で意見や意思を伝える」コミュニケーション力を身につけることに注力している

ICT環境の整備にも注力「先進教育推進室」を立ち上げ

 同校ではICT環境の整備にも注力している。まず、プロジェクター付き電子黒板をすべての教室に設置した。校内無線LANも構築し、教員全員にiPadを持たせている。こうしたハード面だけでなく、ソフト面も拡充の一途をたどっている。

「3年ほど前から校内で電子黒板とタブレット端末の利活用に関する研修を行っています。当初は先生方も苦労したようですが、今ではすっかり習熟。生徒もより一層授業に没頭できるようになりました」

 さらに、ICT教育についての研究・活用を担当する「先進教育推進室」を今年に入って立ち上げた。全校から十数人の先生を選抜したそうで、ICT環境が今後ますます拡充することが期待される。

 iPadについては2022年4月に入学する新入生から全員に所持してもらうことも決めた。大学生や社会人がICT機器を紙と鉛筆として扱えることは社会の最低限の要請となっている。そのスキルが同校で無理なく身につくわけで、時宜にかなった取り組みといえそうだ。

 大場校長は学校説明会で二つのことを話しているという。中高6年間で、得意な分野を伸ばすことと、バイタリティを身につけること、だ。 「得意なものがより得意になれば自信がつき、バイタリティがあれば少しのことではへこたれなくなります。これは今後の社会をたくましく生き抜くために絶対に必要です。本校は生徒一人ひとりを大切に育てる学校です。どんな生徒が学ぶ、どんな学校なのか、学校説明会や立正祭などの際にぜひお訪ねください。在校生と教職員一同、お待ちしています」

電子黒板&タブレット端末を利用したアクティブラーニング
A:生徒と教員で対話しやすくなるため、生徒は集中して授業に臨むことが可能
B:各生徒の解答を電子黒板に送信。理解度の把握や、情報の共有に有効
C:教科書・プリントなどの資料を投影。板書よりも見やすく、解説にかかる時間が短縮
  • 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。