WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

「NEW江戸取」始動。世界型人材の育成へ

江戸川学園取手中・高等学校

創立41年目を迎えた江戸川学園取手中・高等学校が「NEW江戸取」と題した教育改革を進めている。目指すは世界型人材の育成。大胆な授業改革と併せて、変化の時代をたくましく生き抜くために必要な主体性・自主性を育てるさまざまなプログラムを用意している。新たな教育改革の狙いについて、校長の竹澤賢司先生にお聞きした。

「規律ある進学校」の歴史にグローバル時代の学びが加わる

1978年の創立以来、「規律ある進学校」として心力・学力・体力をバランス良く育てる教育に取り組んできた江戸川学園取手。今年度からは「NEW江戸取」の名の下に、新たな教育改革を本格的にスタートさせた。校長の竹澤賢司先生は、「改革の目的は、生徒たちの主体性・自主性を育て、世界型人材を育てること。グローバルな時代にたくましく生きていける人材を輩出したい」と話す。

改革を象徴するプログラムが同校独自の探究学習だ。大きなテーマは「Sustainable Development Goals=SDGs(持続可能な開発目標)」。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、貧困、飢餓、福祉、教育、エネルギーなど17の国際目標を掲げている。生徒は大テーマのなかから、個人でそれぞれに目標を設定。総合学習の時間を活用し、中高6年間をかけて探究していく。「早い時期から国際的な問題を考えることで、視野を世界に広げ、グローバルな視点で物事をとらえる力を鍛えていく。その蓄積が思考力の向上にもつながる」と竹澤先生。探究学習を通じて、これからの時代に不可欠な21世紀型スキルの獲得を目指している。

江戸川学園取手中・高等学校 校長 竹澤賢司先生
「NEW江戸取」を象徴する新しい制服

密度の濃い授業を実践。「アフタースクール」に145の選択講座

改革のもう一つの柱は大胆な授業改革だ。従来の1コマ50分の授業を今年度から45分に短縮。これまで以上に中身の濃い授業へと転換した。背景にあるのが授業改革と並行して進めた教師の働き方改革だ。教師自身が教養を深め、担当教科の専門性を高められる環境を整備。ノー残業デーを設けるなど、学校を挙げて授業の質の向上に取り組んできた。「教師が生き生き、わくわくする授業でなければ、生徒はわくわくしない。信頼できる教師との双方向型授業で、生徒たちは主体的に学習に望む姿勢を持てるようになった」と竹澤先生は自信を見せる。

併せて、放課後には「アフタースクール」と題した自由選択制の講座を導入。大学受験対策を行う学習講座をはじめ、教養講座、理数融合講座、社会科見学講座、英語4技能講座、PBL(Project-Based Learning)講座、講演会、出前講義など、大学や企業にも協力してもらい、145もの講座を用意した。「授業を圧縮することによって、一人ひとりが自分の将来を見据えて学べる『アフタースクール』が実現した。多様性や個性を伸ばしつつ、生徒が主体的・積極的に勉強して世界とつながれるようにしたい」

アメリカ・アカデミックツアーは、グローバルな視野で物事を考える力を身に付けるチャンスになります。ワシントンD.C.・ボストン・ニューヨークを訪問します

今春も高い大学合格実績医学部医学科にも多数合格

多面的な教育改革が進むなか、今年の大学合格実績も好調だ。国公立大の合格者は計123名。早慶上理には202名が合格を果たした。注目を集める医学部医学科の合格実績は、国公立大に28名、私立大に62名の計90名。医学部を目指す医科コースが昨年度を上回る実績を挙げている。学力の向上だけでなく、医療問題などを協働学習する「メディカルサイエンス」の授業や、「一日医師体験」、併設の小学校での実験教室の開催など、医師としての素養を身につけるプログラムの成果だという。2016年度には中等部にも医科ジュニアコースを開設。東大ジュニアコース、難関大ジュニアコースとの3コース制となり、早い段階から将来に進路を見据えて学ぶことができるようになっている。

来年度の中学入試については、募集定員は変わらないものの、小学部から約70名が内部進学してくるため、その分、狭き門となる。基礎学力に加えて、思考力を問う問題への対応が重要になりそうだ。最後に竹澤先生は、受験生と保護者に次のメッセージを送ってくれた。「受験は、自分の将来の夢や目標を考えるチャンス。本校では、私たちが飛躍のためのチャレンジを応援します」

亀田総合病院見学ツアーでは、医師として活躍中である卒業生の話を聴き、病院見学では天国に一番近い霊安室をはじめ病院内の見学、医療機関に触れて貴重な 体験ができ、モチベーションが上がります
ハンドボール部は、2年連続で県大会出場を果たした。卒業生は、大学進学後も 東京大学や東京理科大学、信州大学、東京農工大学などで、ハンドボールを継続し、活躍中です